2010年4月6日火曜日

ヘラを求めて

前回触れたのですが、また裁縫に入っています。今までも作っている例のドレスを今回は白い風のようなシルクで作るという計画です。
昨年秋の時は初めて「型紙を作る」ということをしたとお伝えしましたね。結果的にそれがすごく完成度を上げるのに役立ったようでもなかったのですが、今回作るにあたっては、進行がよりスムーズになったと感じました。
しかし、今日のテーマはその前のこと。

今回の製作の自己課題は、生地を二重にして同じかたちのものを2枚裁断する際につける「しるし」のレベルアップでした。型紙を載せた側の生地にしるしをつけるだけなら今までのやり方(チャコという洗えば落ちるクレヨンのようなものを使用)で問題ないのですが、それでは生地から型紙をはずした時に裏にある生地にはなんのしるしも残らずひどく困る=不安になるのです。というか、後でなかばパニック。「いったいどこを縫えばいいの~?」ということに。(後で裁断が下手というのが問題だということがわかりかけましたが)

毎回それでは進歩がないということで、今回は気合いを入れ(?)ヘラ(生地表から強めに縫うラインをなぞる)があれば生地に傷がつかず、よきしるしとなるであろうと推察。で、それを探す旅に出たわけです。
なぜいつもこういうことが手軽身近ではなく旅になってしまうのか疑問ですが、この度もえらいところに入りこんでしまったのです。説明するのが難しいけど、やってみます。ちょっと脚色ありかも、、、。

まず手芸店を探すのも知らない町では近頃大変。私の踏んだ手順。
1.情報収集後だいたいの場所にあたりをつける。
2.そして、地元の人に現地で聞く。
3.近くまで行ってから、住んでいる人に確認する。

私はかなり近くに来たことを確信し、目についた八百屋さんで尋ねてみた。ところがすごく近いはずのその老舗の(というか昔からやっている)手芸店の存在にハテナ顔のお店の方。トリッキーな町。都会ってそうなの?どうも道が1本違うだけのようなのに。
実は、この1本(2本?)は平行な1本(2本!)ではなく段違いというのか高度差もあったのです。それだけの違いが全く別の様相を呈することになるこの界隈の時空のズレ。
気を取り直し元来た道を交差点まで戻り、角度をつけてまた下ることになりました。近くにあると言われていた目印のお店があり、この道で間違いはないと今度こそ確信。しかし、とんかつやの隣にある(最初の駅前あたりで入手の情報を思い出す)という店がない!消えた?

あー、ここは、、、見える人にしか見えない場所だ!そんな店だったのでした。いや、見えるけど。そんな感じの。あると言われても疑うようなたたずまい。しかし店の前には昼にとったと思われる(いつの昼だ?)出前のどんぶりが置いてある。誰かがいるはず。一見したところ手芸店にも見えず、、、ここに果たして求めたものが存在するのか疑わしいが、せっかく来たのだからと入ってみる。

両腕を拡げると両端に届きそうなくらいの間口に所狭しと(そりゃあ、狭いよ。)主に毛糸がビッシリ。端切れ生地もある。ん~置いてある編み物の本も私より古いかも、、、。人の気配はかなり薄い。しかし、進んでいくと奥に机に向かった店主。
私って、たぶんここには珍しいはずの来客なのに。反応悪いな~。私に対して横向きの机に向かっている初老の男性。『はい』「あの~、ヘラが欲しいんですけど、あります?」『あ~、ヘラ?』と、心ここにあらずな感じ。ヘラっていうものじゃなかったっけ?と不安になりいろいろ説明する。悪い人ではなさそうだけど、なんだか面倒そうに立ち上がりやってきて私とすれ違う。(すれ違うのも譲り合い)
店の入り口近くまで行き、左手の方を探しにかかろうとしたその時に、おじさんは急に動きをとめた。そして苦悩の表情を見せ『ん~、ちょっと待ってくれるかな?10分、15分くらい。』と言って引き返しながらさらにこう付け加えた。『ちょっと、今聞かなきゃならないラジオがあって』
男性は一応すまなそうに、しかしきっぱりと机に戻って行ったのだった・・・(うそじゃないよ~)つづく